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解説
人の死亡を医学的・法律的に証明する書類には、死亡診断書と死体検案書があります。このうち死亡診断書は医師だけではなく、歯科医師も歯科医師法19条に基づき交付義務があります。しかし死体検案書を発行できるのは医師だけです。それでは、死亡診断書と死体検案書はどう違うのでしょうか。
死亡診断書は「診察」の結果、「自らの診療管理下にある患者が、生前に診療していた傷病に関連して死亡したと認める場合」に発行します。それ以外の場合には「検案」を行い、「死体検案書」を発行します。検案とは医師が医師法に基づき死体の死因を判定する作業であり、歯科医師の業務ではありませんので、歯科医師は死体検案書を発行できないのです。
つまり、歯科医師の診療を受けていた口腔癌の患者が癌の進行のために亡くなった場合には、その歯科医師は死亡診断書を発行できます。しかし同じ患者が交通事故で全身を強く打って亡くなった場合には、歯科医師は死亡診断書を発行できず、医師が検案を行う必要があります(今回の論点からずれますが交通事故死の可能性がある場合は「異状がある」ので、検案した医師は医師法21条に基づき所轄警察署に届け出なければなりません)。
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