良い話のようで何だかよく分からない【劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲】

7/16/2022

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劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲は1998年に公開された劇場版アニメ第1作である。名作との評価は知っていたが、観る機会に恵まれなかった。そもそも、ゲームのポケットモンスター(初代)の時点で既に中高生であった為、年齢的にはギリギリだった。その後に登場したアニメはいかにも子供向けで、それでもしばらくは視聴したが(ポケモンショック事件はリアルタイムで知っている)、劇場版が公開される頃にはポケモンを卒業していたのである。

公開から24年経って漸く観ることができた。結論から言うと、名作ではあるが今一つよく分からない話だった。疑問点は色々あるが、一言で表せば「ミュウツーはなぜ矛を収めたか」に尽きる。作中では明確には描かれていない。

ミュウツーは「人間に作られた」「ミュウのコピー」である事実から、アイデンティティを激しく揺さぶられ、人間を敵視し、オリジナルのミュウを敵視した。研究所を再建し、ポケモンのコピーを作り出したのも「コピーはオリジナルを凌駕する」ことを示したかった、もしくは「同じコピーである仲間を作りたかった」のだろう。最終的にはオリジナルかコピーかという拘りから開放され、戦う理由を失った。

というのが大まかなところだが、直前の出来事である「ポケモン達の涙とそれによる奇跡」と「ミュウツーが悟る」ことの繋がりが分かりにくい。また、「悲しみで涙を流すのは人間だけ」という序盤のアイツーの台詞が伏線のようで、人間だけのはずの悲しみの涙をポケモン達が流した理由や意味が描写されておらず、いまいち伏線になり切れていない。さらに、この話はミュウがミュウツーのところに来ないと成立しないが、なぜミュウが来たのか、その理由もよく分からない(ミュウツーがミュウを呼び寄せる理由はあるので、何らかの策を講じた可能性もあるが描写がない)。

なんというか、惜しい作品だった。主題歌はとても良い。


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