漢方薬は「安全」なのか ―筋肉を痛める漢方薬―

7/25/2022

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漢方薬は古代中国の医学に起源をもつ。西洋医学が発達した現在でも広く使われている。漢方薬は比較的安全とされているが、副作用が無いわけではない。漢方薬の副作用として、よく添付文書に記載されているものに「ミオパチー」がある。

ミオパチーとは何か。ミオパチーは筋肉の疾患を総称した用語である。ミオパチーと言うだけでは、筋肉が障害されていることを示すのみで、具体的なことは分からない。

漢方薬は筋肉をどのように障害するのか。主な役割を担うのは漢方薬を構成する生薬の一つ、甘草(かんぞう)に含まれるグリチルリチンである。グリチルリチンは腎臓に働きかけ、ナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進する。ナトリウム再吸収の促進により体内にナトリウムが過剰となると、塩分の摂り過ぎのような状態となり、高血圧や浮腫を起こす。一方、カリウム排泄の促進により体内にカリウムが不足すると、低カリウム血症となる。

【関連:偽性アルドステロン症】
ナトリウム再吸収とカリウム排泄の促進はアルドステロン(ホルモンの一種)と同様の作用である。アルドステロンの過剰により高血圧、浮腫、低カリウム血症に至ったものをアルドステロン症と言う。グリチルリチンが原因の場合は、実際にはアルドステロンの過剰ではないにも関わらずアルドステロンの過剰であるかのような状態になるという意味で、偽性アルドステロン症(偽アルドステロン症)と言う。

カリウムと筋肉は深い関係がある。血液中のカリウム濃度が低いと、筋肉が正常に動かなくなる。力が抜けるように感じ(脱力)、あるいはこむら返りを起こす(痙攣)。筋肉痛が生じることも、筋組織が破壊されることもある。

【関連:芍薬甘草湯】
漢方薬の一種で、即効性のある鎮痛薬として医療現場でよく利用される。こむら返りの治療薬として有名である。構成する生薬はたったの2種類で、芍薬と甘草からなるシンプルな処方である。甘草の含有量が1日量あたり6.0gと群を抜いて多い。このため低カリウム血症によるミオパチーを起こしやすい。厄介なことに、こむら返りの治療薬として使われる場合、副作用としての筋痙攣をもともとの症状と誤認する恐れがある。こうした事情から、既に低カリウム血症の患者には投与してはならない(禁忌)となっており、また、漢方薬としては珍しく添付文書に「治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」と注意書きがされている。

甘草は漢方製剤の7割に含まれている。つまり大半の漢方薬は、電解質のバランスを崩し、その結果として筋肉を障害しうる。比較的安全とされる漢方薬といえども副作用に注意しながら使わなければならないのである。

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