先生、認知症というのは残酷ですね。
主人は仕事熱心な人でした。
子育てもありましたし、二人の時間はとれませんでした。
定年になって時間ができたら二人で旅行に行こうね、と話していました。
でも定年の少し前から、どこかおかしかったんです。
ぼうっとしていることが増えて、忘れ物をするようになりました。
真面目な人でしたから、そんなこと全然無かったんですよ。
定年後はもっとひどくなりました。
同じことを何度も話したり、外出先から帰ってこれなくなったり。
病院で認知症と診断されて、その後もどんどん進んで。
もう会話もできないし、食事もとれないんです。
まだ72歳ですよ。
でも胃瘻とか、そういう延命だけの治療はやめた方がいいのかな。
はい先生、できるだけ苦しくないようにしてあげてください。
老婆は今現在のことのように言ったし、そう信じていた。
今日、担当医は長男と面談し、今後の方針を決めることになっている。
事前情報では、できるだけ自然に看取る方向になりそうだ。
20年前に亡くなった夫と同じように。
0 件のコメント:
コメントを投稿